5章:「拡大」膨張の代償
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ピーク時全国43都道府県に
- 上場後、アドバンスクリエイトは拡大路線をひた走ることになる。
来店型保険ショップ「保険市場」の全国展開である。
「保険のコンビニ」をコンセプトに、約2年間の歳月を費やし店舗を出店し続けた結果、2006年のピーク時点では全国43都道府県に197店舗の「保険市場」が存在した。
急速な出店に伴い、従業員数も大幅に増加し、夫婦2人で始めた会社は1,000人規模にまで膨れ上がっていた。
しかし、そこには濱田が創りたかった会社の姿はなかった。
もともと保険代理店を生業とすると決心した時に、「保険は、全国数万店あるどこの代理店で加入しても、基本的に保険料は変わらない。ならば、当社は『保険』を売るのではなく『サービス』を売ろう」というのが、濱田のこだわりだった。
しかし、全国津々浦々に広がった店舗において、濱田が求める「お客様を感動させるサービス」が実践されていたとは言い難い現状がそこにはあった。また、起業の原点である「本物のプロとしての志」をもったチームメイトは、数えるほどしか存在しなかった。
つまり、「拡大」に「伝達と教育」が追いついていなかったのである。